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預貯金の払戻制度とは?

2019.6.30

大阪の民事信託・家族信託のたくすネットの司法書士の福村です。
2019年も半分を過ぎました。
民事信託・家族信託に対する関心は日々高くなっていると感じます。
今年に入ってたくすネットをご利用いただいた皆様、ありがとうございました。引き続きサポートさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
さて、今日は7月1日が施行日となる、改正相続法のうち、預貯金の払戻制度についてのお知らせです。
これまでも何度かご紹介してきましたが、いよいよスタートします。
混乱が起きる可能性もありますので、この場で内容についてまとめてご案内します。

【これまでの預貯金の払戻】

生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済など、お金が必要になった場合でも、相続人は遺産分割が終了するまでは被相続人の預貯金の払戻しができないという問題がありました。



【これまでの経緯】

平成28年12月19日の最高裁判所の判決で、「預貯金債権が遺産分割の対象に含まれる」との判断が示され、遺産分割協議が終わるまでの間、共同相続人は『単独で』払戻しを受けることが出来ないとされました。



【急な出費や当面の生活費の不安があっても】

生活費、葬儀費用の支払い、相続債務(亡くなった人が負担していた債務)等、急ぎのお金が必要になっても、遺産分割協議が終わるまでは、被相続人の預貯金を払戻しができないという不都合がありました。



そこで、

令和1年7月1日スタート 預貯金の払戻し制度の創設 民法第909条の2

共同相続人の上記のような資金需要に迅速に応えるため、『各』共同相続人が、遺産分割前に、裁判所の判断を経ることなく、一定の範囲で遺産に含まれる預貯金債権を行使することができる制度を設けました(民909条の2)。
※家庭裁判所の仮分割の仮処分の要件緩和については省略します。



父が亡くなり、母、兄、妹の3人が相続人となる場合、母兄妹の3人での遺産分割協議がまとまる前であっても、それぞれが、自分だけで、預貯金の一定額の払戻しを受けられるように変わるということです。 



(参考)民法909条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使)

各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の3分の1に第900条及び第901条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。



では、いくら払戻しを受けられるでしょうか?



【払戻し可能金額】

民法909条の2では、各相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち、その相続開始時の債権額の3分の1に、当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分を乗じた額については、単独でその権利を行使することができるとされています。

そして、同条の規定によって権利行使をすることができる預貯金債権の割合及び額については、個々の預貯金債権ごと(口座基準)に判断されることになります。



【計算式です】

単独で払戻しをすることができる額=(相続開始時の預貯金債権の額)×(3分の1)×(当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分)

※ただし、同一の金融機関に対する権利行使は、法務省令で定める額(150万円です)を限度とする。



【計算してみましょう】

例えば、普通預金の残高が600万円で、共同相続人が兄、妹という2人の子であれば、兄、妹の法定相続分はそれぞれ2分の1なので、600万円×1/3×1/2=100万円となります。

つまり、共同相続人の兄が払戻しを受けられる金額は、100万円となります。

ここで注意点が1つあります。

普通預金が300万円、定期預金が150万円であれば、兄が払戻しを受けられる金額は、普通預金から50万円、定期預金から25万円という計算になります。

※払戻可能額は、預金の契約単位ごと、普通預金であれば口座ごと、定期預金であれば1本ごとに計算するというのがポイントです。

※払戻可能な額は、相続開始時を基準として計算します。被相続人が死亡した後に、キャッシュカードを使ってATMで払戻しを受けて残高が減っていても、相続開始時を基準に計算することになります。

※預貯金を対象とする「相続させる」旨の遺言が残されていた場合は、当該預貯金債権は払戻の対象から外れます。ただ、法定相続分を超える部分については対抗要件が必要となる法改正がなされている点には注意が必要です。



【同一の金融機関からの払戻し額には限度があります】

この上限額については、法務省令(平成30年法務省令第29号)により、150万円と定められました。

金融機関に持参する資料】全国銀行協会参照

亡くなった方に関する資料
①被相続人(亡くなられた方)の除籍謄本、 戸籍謄本または全部事項証明書 (出生から死亡までの連続したもの)

※法定相続証明情報でも対応可能な金融機関もあると思いますが、運用を待ちます。

相続人に関する資料

①相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書  
②預金の払戻しを希望される方の印鑑証明書

※実印、身分証明書も必要となると思います。



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